人工臓器
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ポリウレタンスポンジの組織適合性の基礎的検討とPorous型人工気管の設計
柳 正和岸田 晶夫下高原 哲朗松本 英彦西島 浩雄明石 満島津 久明
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1994 年 23 巻 3 号 p. 883-888

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抄録
ポリウレタンスポンジへの組織侵入に関して, 表面修飾の種類, Pore size, 血液clottingによる差をin vivoにて検討した. コラーゲン(Col), ファイブロネクチン(FN), RGDの固定化およびコラーゲンコーティング(Col coat), アパタイトコーティング(AP)と未処理の6種類のスポンジを48匹のラットの皮下に埋植し経時的に組織を観察した. 早期の細胞浸潤はCol, Col coatで強かったが, 線維芽細胞の侵入, 成熟化, 血管新生, 炎症細胞消退はFNに優位で以下RGD, APの順であった. Pore sizeの小さいスポンジで細胞浸潤や線維芽細胞の侵入が促進されたが, 血液clottingによる差はみられなかった. ポリウレタンスポンジ製人工気管を作製し犬16頭で頚部気管の置換術を試みた. 物性の適合や組織侵入が期待できる反面, 優れた吸水性は喀痰吸引を生じ, 人工気管の素材としての課題となった.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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