抄録
我々は既に抗血栓性材料のin vitro評価法として、蛍光顕微鏡、ビデオ、パラレル・プレート・フロー・チャンバーからなるepifluorescent video microscopy (EVM)を用いたリアルタイム評価法が有用であることを確認している。この方法を用いて6種類の異なるセグメント化ポリウレタン(PUs)の抗血栓性を評価した。蛍光色素で標識した全血をシリンジポンプにより壁ずり速度200sec-1で流し、1分毎に血小板粘着量を20分間測定した。ソフトセグメントが高分子量のPTMGより構成されるPUは低分子量のPTMGより構成されるPUと比較して血小板粘着・活性化を抑制したが、補体を活性化した。また、ウレア結合を持つPUUはPUよりも血小板粘着量が多く、血小板および補体のいずれも活性化した。以上から、PUsの化学組成が抗血栓性に大きな影響を及ぼしている可能性が示唆された。また、本評価法の使用により6種類のPUsの抗血栓性に差が認められたことから、本EVM装置が優れたin vitro評価法であることが示された。