人工臓器
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血中アンモニアの選択的除去を目的としたグルタミン合成酵素固定化ゲルの調製と機能評価
絵野 沢伸鈴木 盛一掛札 敏裕雨宮 浩大政 健史菅 健一伊藤 尚史倉持 健太郎
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1996 年 25 巻 2 号 p. 399-402

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抄録

透析によって血流から除かれる物質は膜のボアサイズに依存し、生体に有用な物質も失われてしまう危険性がある。この点を補うため、肝性昏睡の原因物質の一つとされるアンモニアを血中から選択的に除去する装置の作製をめざし、グルタミン合成酵素を固定化したゲルの調製とその機能について検討した。酵素の固定化ではグルタミン合成酵素をFMP活性化セルロフインと反応させた。酵素固定化率は、反応前後の溶液中タンパク量の差からほぼ100%であったが、活性では、固定化前の5.2±1.2%(4lotの平均±SD)に低下していた。この固定化酵素をカラムに充填し、アンモニア5mMを含む緩衝液及び血清を流したところ、初期速度1.4μmol/ml/分で、アンモニアを減少させた。反応基質としてのATP、グルタミン酸の必要量を計算したところ、体外循環回路として利用することが可能と考えられた。今後の問題として、本酵素はMg2+要求性であることが挙げられ、その解決策として固定化酵素に替わり酵素遺伝子を導入した細胞の利用を計画している。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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