抄録
自己免疫病の患者から除去されるCryogelは、フィブロネクチン(FN)-フィブリノーゲン(Fbg)会合体を、ヘパリン(Hep)が凝集させて形成されるという機構を我々は提案してきた。本研究ではHepのCryogel形成過程での役割を明確にするため、Hep様モデル物質として硫酸化セルロースを用いてゲル形成と硫酸化セルロース構造との関係を検討することを目的とした。in vitroにおけるCryogel形成能は濁度測定により評価した。ゲル形成能を単位硫酸基あたりの濃度で規格化すると、グルコースユニットの6位の炭素に結合している水酸基が硫酸基に置換された試料より、2位の位置が置換されている試料の方がHepに類似した挙動を示すことがわかった。従来、Cryogelを形成させるにはHepが必要とされてきたが、今回Hep様の材料を用いても同様のCryogel形成の効果があることが示された。