芸術学論集
Online ISSN : 2435-7227
平山郁夫の日本画作品にみる「東西融合」
日本絵画の特質の普遍化に着目して
牛 紹静
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2023 年 4 巻 p. 49-58

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抄録

本論は主に『平山郁夫全集』と平山郁夫が著した著書を中心に平山の作品を考察し、「東西融合」に関する実践方法をあきらかにすることを目的とする。まず近現代の日本画家たちにおける平山の作品表現の位置付けから、彼の「東西融合」の方法の独創性を仮説として提示する。

そして平山の実践に、東西の宗教絵画が関係していることを前提に、平山の時期ごとの作品の分析を通して、フランスの後期印象派の画家であるポール・ゴーギャンの影響があることや、光の表現とその思想などを指摘し、日本美術や日本文化の特質を普遍化するという「東西融合」の方法を論じる。具体的には、平山の芸術に重大な影響を与えた取材活動や絵画制作を着目にして、平山の制作活動期間を、東京美術学校(現、東京藝術大学)の卒業から1958年まで、1959年から1960年、1961年から1967年、1968年以降の4期に分け、「東西融合」の進化をたどる。また平山の芸術の「東西融合」の方法や受けていた影響などを詳しく考察する。本論の最後に、平山の芸術で行われた「東西融合」についてまとめ、結論とする。

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