抄録
プレス成型法では, 一般的に切れ味のよい砥石を安価に製作することができる. しかし, カレンダーロール法に比べ曲げ強度や回転破壊強度が小さく, 砥石寿命も短いという問題点があった. この課題を達成するため, 本研究では乳鉢低速撹拌機を用いた砥粒・充填剤・結合剤の均一撹拌方法の確立, 砥石性能に及ぼす充填剤と結合剤の添加率の影響及びその適正条件について検討を行い, 切れ味と強度を兼ね備えた安価な切断砥石を開発した. 切断加工には一般に加工油剤が用いられているが, 近年, 環境負荷の観点からその使用を減少させる傾向にある. そこで, 粉末寒天を配合した切断砥石にポリエチレングリコールを含浸させることで, 砥石自身に潤滑機能と冷却機能を持たせた環境に優しい乾式切断砥石を提案し, プレス成型法で開発することに成功した.