砥粒加工学会誌
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論文
ゲルマニウム単結晶基板の化学的機械的研磨における酸化剤の効果
越山 勇千田 哲司正井 治夫星屋 佐知子
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2006 年 50 巻 2 号 p. 102-106

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抄録
砥粒と酸化剤を含むスラリーによるゲルマニウム単結晶基板の化学的機械的研磨について検討した.その結果,研磨能率は,砥粒の添加量にはあまり依存せず,酸化剤の濃度に依存することがわかった.酸化剤に関しては,過酸化水素,次亜塩素酸ナトリウムおよびオルト過ヨウ素酸と研磨能率の関係について検討した.これらの酸化剤のうちでは標準電極電位がもっとも高く,酸化力も強いと考えられる過酸化水素が研磨能力がもっとも低かった. 砥粒としては一般的なコロイダルシリカ,フュームドシリカ,アルミナおよびジルコニアについて検討したが,機械的作用の小さいコロイダルシリカを用いた場合に優れた研磨表面が得られた.これらの結果から,酸化剤とゲルマニウム表面の反応が研磨の律速段階であることおよび砥粒としては,機械的な作用が弱く,ゲルマニウム表面にダメージを与えないコロイダルシリカのような砥粒が適していることがわかった.
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© 2006 社団法人 砥粒加工学会
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