抄録
炭化ケイ素は,水中において極めて低い摩擦を発現するため,近年水中で機能する機械機器のシール,軸受のための材料として大いに期待されている.しかし粘性の低い水を潤滑剤とするため,従来の油を用いるシステムと比較し,焼付き荷重が低いという欠点を有している.そこで本研究では,炭化ケイ素の水中摩擦において低摩擦状態を持続できる焼付き荷重を向上させる新しい摩擦表面のテクスチャリングを設計しその有効性を実証する.さらに実験結果に基づき,焼付き荷重向上のためには流体動圧効果の発生源とともにトライボケミカル反応を促進するための水の供給源としての表面テクスチャが有効であることを明らかにする.