砥粒加工学会誌
Online ISSN : 1880-7534
Print ISSN : 0914-2703
ISSN-L : 0914-2703
50 巻, 2 号
FEB.
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
論文
  • 作業者に与える心理的影響
    上田 隆司, 佐久間 邦郎, 八重沢 敏男
    2006 年50 巻2 号 p. 91-95
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究では, ホーニング音が作業者に与える影響について, ホーニング音環境下において内田クレペリン精神検査を行うことにより, 作業能率に及ぼす影響を定量的に調べた. その時の作業者の脳波を測定し, 作業者心理に及ぼす影響を把握した. 得られた結果をまとめると次のようになる. 高音圧のホーニング音環境下においても, 作業曲線の異常は定型崩れにとどまり, 被験者の心理状態が極めて異常な状態に陥ることはなかった. ホーニング音の心理的影響と作業能率への影響は, 主に「初頭努力の欠如」が現れ, 作業に対する取りかかりが悪くなった. ホーニング音が周期性のある騒音であることから, 時間の経過に伴いホーニング音の心理的影響は小さくなり, このため後期におけるその影響は小さかった. ホーニング音の影響の度合いには個人差があるが, 誤謬の過多などを生じるほどの大きな影響を及ぼすことはなかった.
  • -びびり振動を抑えた深彫り加工の可能性-
    赤松 猛史, 北嶋 弘一, 桐山 達也, 南野 修司, 松本 有司
    2006 年50 巻2 号 p. 96-101
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    金型は,旋削加工,穴あけ加工,フライス加工などの切削加工の他に研削加工,研磨加工,放電加工などを加えた加工技術の集約によって加工されている.これまで,複雑形状の精密金型の加工,とくに金型の深彫り加工に対してはエンドミルなどの切削工具では加工が困難なために放電加工に頼るところが大きかったが,その加工能率の低さや加工変質層の生成などの問題点が指摘されており,近年ではエンドミルによる切削加工が一般化されてきている.本研究は,小径ボールエンドミルを金型の深彫り加工へ適用に対する際の切削加工特性,すなわち工具の回転挙動,切削抵抗,実質切込み比率および加工精度について体系的に検討し,深彫り加工用小径ボールエンドミルの最適設計に対する指針を得ることを目標としている.本報告では,小径ボールエンドミルの工具寿命の観点から工具摩耗による影響を検討するとともに,工具摩滅量を考慮した工具の実質たわみ量を把握し,深彫り加工における加工精度の向上に対する設計指針を得た.
  • 越山 勇, 千田 哲司, 正井 治夫, 星屋 佐知子
    2006 年50 巻2 号 p. 102-106
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    砥粒と酸化剤を含むスラリーによるゲルマニウム単結晶基板の化学的機械的研磨について検討した.その結果,研磨能率は,砥粒の添加量にはあまり依存せず,酸化剤の濃度に依存することがわかった.酸化剤に関しては,過酸化水素,次亜塩素酸ナトリウムおよびオルト過ヨウ素酸と研磨能率の関係について検討した.これらの酸化剤のうちでは標準電極電位がもっとも高く,酸化力も強いと考えられる過酸化水素が研磨能力がもっとも低かった. 砥粒としては一般的なコロイダルシリカ,フュームドシリカ,アルミナおよびジルコニアについて検討したが,機械的作用の小さいコロイダルシリカを用いた場合に優れた研磨表面が得られた.これらの結果から,酸化剤とゲルマニウム表面の反応が研磨の律速段階であることおよび砥粒としては,機械的な作用が弱く,ゲルマニウム表面にダメージを与えないコロイダルシリカのような砥粒が適していることがわかった.
  • 足立 幸志, 大塚 克則, 王 暁雷, 加藤 康司
    2006 年50 巻2 号 p. 107-110
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    炭化ケイ素は,水中において極めて低い摩擦を発現するため,近年水中で機能する機械機器のシール,軸受のための材料として大いに期待されている.しかし粘性の低い水を潤滑剤とするため,従来の油を用いるシステムと比較し,焼付き荷重が低いという欠点を有している.そこで本研究では,炭化ケイ素の水中摩擦において低摩擦状態を持続できる焼付き荷重を向上させる新しい摩擦表面のテクスチャリングを設計しその有効性を実証する.さらに実験結果に基づき,焼付き荷重向上のためには流体動圧効果の発生源とともにトライボケミカル反応を促進するための水の供給源としての表面テクスチャが有効であることを明らかにする.
  • 第4報:キャビテーション気泡群の影響について
    田中 信一, 高木 純一郎, 横沢 毅
    2006 年50 巻2 号 p. 111-116
    発行日: 2006/02/01
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    遊離砥粒を用いた超音波加工においては, さまざまな加工条件の変動が加工精度, 加工効率などに影響を与える. 本研究では, 工具材として焼結ダイヤモンド (PCD) , S45C, SUS304を用い, 超音波振動により発生するキャビテーション気泡群が, 工具先端面, 加工穴底面の面粗さ, スラリーの挙動にどのような影響を与えるか調べた. その結果 (1) 工具直径5.0mm, 3.0mmでは, 工具外周部から0.5mm程度の幅のリング状にR凸断面形状に盛り上がった状態となった工具摩耗がみられる (2) 工具直径3.0mm以上と1.5mm以下の間で, 工具先端面でのキャビテーション気泡群の発生状態, およびその影響によるスラリーの工具直下への流入状態が異なる (3) 工具直径1.5mmのときに最も加工穴底面の面粗さが大きくなる. それよりも工具直径が小さくなるにつれて, 加工穴底面の面粗さは小さくなっていくことがわかった.
feedback
Top