抄録
現在,複合材料である炭素繊維強化プラスチック積層板(CFRP)は一般産業機器分野などその適用範囲はますます拡大されてきている.一方,CFRPの切断加工については,発生するCFRPの損傷や積層間での破壊,剥離などは積層方向に大きく依存すると考えられる.本研究では外周刃によるCFRPの切断加工の高性能化を振動外周刃切断方式によって可能にすることを目的としている.本論文では積層方向を一方向に限定したCFRPを切断対象として,炭素繊維の方向が切断精度や工具寿命に及ぼす影響について実験的に検討した.その結果,いずれの積層方向でも振動外周刃切断方式によって切断抵抗の低減効果や工具摩耗の抑制効果がもたらされるとともに,繊維方向に依存して切断面の表面粗さやチッピングに代表される切断精度は大きく変化することを明らかにした.