抄録
近年,製品表面を保護するための最終コーティング材料として低弾性樹脂材が注目されている.それを塗布する際にちりやほこりが侵入してしまった場合,研磨補修によって修繕されている.しかし,コーティング材として用いている低弾性樹脂材は傷に耐性があり,精密な研磨加工が困難であるため,熟練技術者の技能と経験に頼らざるを得ない.そのため,自動化・技術継承といった点から,研磨工程の定量的な評価手法の確立と,それに基づき最適な研磨条件を明らかにすることが望まれている.そこで本研究では,バフ研磨を対象として,一定研磨圧条件において低弾性樹脂材の研磨特性を解析した.また,熟練者による研磨表面との比較も行った結果,表面粗さRa,ローカルピーク間距離S,Sの標準偏差からなる複合的な評価指標を定めることで,ぼやけまで含めた研磨面を評価可能であることを見出した.