抄録
板厚が0.5mm程度の極薄板の平面研削においては,研削終了後に工作物に反りが生じる.この現象の解明を目的として,本研究では,研削温度と工作物の反り量および残留応力に着目し,両者を測定することで実験的に反りの発生メカニズムを検討した.その結果,研削中の工作物表面温度が限界温度に達すると,工作物をチャックから取り外した際に反りの向きが反転するとともに,工作物表面の残留応力も,圧縮から引張へと変化することを確認した.また,両者が反転する限界温度は,被削材の変態温度と近いことから,研削熱によって工作物表面近傍の材料が変態し,残留応力が生じて反りが発生することを明らかにした.