砥粒加工学会誌
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低周波数域を用いた振動切削加工技術に関する研究
振動切削における切削液の効果に関する検討
雪永 敏志杉原 達哉廣瀬 研二榎本 俊之
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2013 年 57 巻 2 号 p. 116-121

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抄録

被削材と工具とが連続的に接触する旋盤加工においては,加工中に工具-切りくずの界面へ切削液を供給することが困難であるため,工具へ高い熱的・機械的負荷が加わる.さらに旋盤加工で排出される繋がった切りくずは,被削材や工作機械・工具へ絡み付くことが問題となっており,自動運転を実現する上での妨げとなっている.そこで,本研究ではこのような現状を打破することを目的に,工具へ低周波数域の振動を付与し加工を行うという,低周波振動切削加工に関する検討を行っている.ここで,低周波振動切削加工では1振動中における加工時間および工具離脱時間が,加工能率・加工特性に大きな影響を与える.そこで,切りくずの凝着が大きな問題となっているアルミニウム合金の旋盤加工に対してNCプログラムにより工具への低周波振動の付与を行い,その基本的な加工特性を評価するとともに,1振動あたりの切削距離と工具への切りくず凝着量の関係を明らかにした.また,得られた結果を基に振動切削における切削液の効果に関する検討を行い,微細な3次元周期構造を表面に有する切削工具を本手法に適用した結果,より加工能率の高い振動条件下においても切りくず凝着を著しく抑制できることを示した.

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© 2013 社団法人 砥粒加工学会
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