抄録
アークイオンプレーティング法(AIP法)によるTiAlN/AlCrNコーティングエンドミルを作製し,膜の機械的性質および構造を明らかにするとともに,難削材の一つであるオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)の切削に適用した.作製した2層構造TiAlN/AlCrNコーティングエンドミルは,単層構造のAlCrNに比べて母材との高い密着性を有しながら,AlCrN本来の高い耐熱性を維持している.TiAlN/AlCrNコーティングエンドミルによる側面加工において,TiAlNより逃げ面摩耗の進行やコーティング膜の剥離が抑制されることが明らかになった.工具寿命を比較すると,TiAlNに対しておよそ1.8倍,AlCrNに対して1.5倍を示し,難削材切削における耐久性の向上が実現できた.