抄録
研削加工では,高速回転中の砥石が破損すると,砥石片が高速で飛散する.そのため砥石片から作業者や工作機械を保護するための砥石カバーの安全性を考慮する必要がある.国内では研削盤等構造規格(昭和46年労働省告示8号)により,各種砥石カバー材料についての板厚が規定されている.一方,近年では優れた機械的強度および耐蝕性,そして装飾性を備えるステンレス材がカバー材として使用されているが,ステンレス材に対する構造規格は整備されていない.本研究では,ステンレス鋼板(SUS304)に円筒状の一般砥石(WA46O8V)を衝突させる実験を行い,飛翔体の衝突エネルギーとカバー材板厚の関係を検証するとともに,カバー材の破損メカニズムを明らかにする.さらに,実験結果および数値解析により,ステンレス製砥石カバーにおける最小板厚を明らかにし,構造規格提案のための資とする.