2017 年 61 巻 2 号 p. 99-104
結晶系シリコン太陽電池やLEDなどに代表される電子部品にはシリコンやサファイアなどの脆性材料が用いられている.これらの脆性材料のスライシング加工には,一度に大量のウェーハを高能率で製造できるメリットからダイヤモンドマルチワイヤソーが用いられている.本方式はピアノ線の表面にダイヤモンド砥粒をメッキなどの技術を利用して固着させたダイヤモンドワイヤ工具を用いる方法で,このワイヤ工具を高速で往復走行させ,水溶性の加工液を加工部に連続で供給し,工作物にワイヤ工具を押し当て,加工する.しかしながら,ダイヤモンドワイヤ工具表面の砥粒数などの表面状態が加工に与える影響については明らかになっていないため,現場作業者の経験などによって加工条件に適したワイヤ工具の選定が行われている.そこで,本研究では加工中にワイヤ工具表面の砥粒数が加工に与える影響などについて実験的に検討し,その結果を報告する.