2020 年 64 巻 5 号 p. 260-266
本研究では,ねじ切り用工具であるスレッドミルを使用し,マシニングセンタのヘリカル補間運動を用いた際のねじ切り加工の特性について考察する.X,Y,Z方向およびトルクの4成分が測定可能な圧電式動力計を用いて,ヘリカル補間運動中のスレッドミルに作用する工具接線方向分力(主分力)と工具半径方向分力(背分力)を分離できる手法を提案する.また,無線式ホルダを使用することにより切削力の極座標表示とその特徴を考察し,提案手法の整合性を確認した.さらに提案手法および無線ホルダ,サ-ボドライブユニットからの位置情報にてねじ切り加工時の工具の公転と自転に起因する切削力を分析し,ねじ切り加工時に粗加工切れ刃と仕上げ加工切れ刃で生じる現象の解明を試みた.また,被削材硬度と切削力の関係を考察し,ねじ加工に対する検討を行った.