2023 年 67 巻 10 号 p. 545-550
工具や金型などに使用される超硬合金の加工には,生産性や加工精度に優れる切削加工が広く使われるようになってきた.一般に超硬合金の切削に有用とされるダイヤモンド工具は経済的コストが高いことから,工具寿命を伸ばす技術の開発が求められている.本研究では,創成面の表面性状に着目しつつ,ダイヤモンドコ-トボ-ルエンドミルの工具寿命が伸びる切削条件について検討した.平均粒径1μm以下のWC粒子で構成されるWC-15mass%Co超硬合金を対象とした切削実験により,アップカットとダウンカットで,工具寿命と加工面の表面性状が顕著に異なることを明らかにした.さらにアップカットとダウンカットを組み合わせた切削実験を行ったところ,アップカットによる創成面を再度アップカットすると摩耗が促進されることがわかった.