工具や金型などに使用される超硬合金の加工には,生産性や加工精度に優れる切削加工が広く使われるようになってきた.一般に超硬合金の切削に有用とされるダイヤモンド工具は経済的コストが高いことから,工具寿命を伸ばす技術の開発が求められている.本研究では,創成面の表面性状に着目しつつ,ダイヤモンドコ-トボ-ルエンドミルの工具寿命が伸びる切削条件について検討した.平均粒径1μm以下のWC粒子で構成されるWC-15mass%Co超硬合金を対象とした切削実験により,アップカットとダウンカットで,工具寿命と加工面の表面性状が顕著に異なることを明らかにした.さらにアップカットとダウンカットを組み合わせた切削実験を行ったところ,アップカットによる創成面を再度アップカットすると摩耗が促進されることがわかった.
本研究では,工作機械用の多品種少量生産となる板金部品に対して,ファイバ-レ-ザ溶接ロボットを導入した新たな生産システムの構築を目指している.多品種少量でも競争力ある板金部品には,溶接工程の熟練者の暗黙知に頼らない自動化を導入した生産技術が不可欠である.一方でロボット溶接には複数の子部品を仮組固定するための治具が不可欠であるが,部品毎に必要となるためその種類が増大する問題が生じる.本報では,治具レスでの自動化を遂行するため,L字の90°突合せ角部のV字溝へのレ-ザ照射のレイアウトおよび仮組固定にホゾ組を導入することを検討した.とくに熱伝導型レ-ザ溶接に着目したホゾ部形状について検討するため,溶接時の現象をカメラでモニタして考察し,ハブラニアンプロットを用いて最適な条件を探索した.またレ-ザ溶接時の入熱量についても検討し,溶接品質と能率について考察した.