2020 年 5 巻 2 号 p. 185-189
大学体育授業における熱中症を予防し,安全に授業を運営するための基礎資料を得るべく,暑熱環境下における授業実施時の環境温度,および体温上昇や発汗等の生理指標について調査した.
その結果,6月下旬以降,湿球黒球温度(WBGT)の数値が急激に上がり,体育授業において熱中症のリスクが高く,学生の身に熱中症の危険性が潜んでいる実態が明らかとなった.
また,WBGTが高い日に実施した授業では,低い日に実施した授業と比べて,飲水量および授業前後の体重差から推測した発汗量が高値を示したが,脱水量,脱水率および体温上昇度には差はなかった.自由飲水による十分な水分補給,発汗による蒸発性熱放散によって,環境温度の変化に関わらず脱水量および体温上昇度を一定範囲に保つことができたと考えられる.