2002 年 4 巻 4 号 p. 193-200
形態的特性から, 韓国産チャ在来種の集団間差を明らかにするとともに, これまでの調査結果と比較して, 韓国産チャ在来種と日本在来種との類縁関係を明らかにした. 材料は, 1993年に韓国南部の6ヶ所の寺及び1ヶ所の農家の茶園から種子で採取し, 日本へ導入した. 農林水産省野菜·茶業試験場内の圃場へ定植して, 植物遺伝資源特性調査マニュアルにしたがって調査を行った. クラスター分析の結果, Hyoi chun myenの農家の集団は, 6ヶ所の寺から採取した集団との距離が大きかった. 6ヶ所の寺から採取した集団は, 成葉が細長く, 雌ずいが雄ずいより長いL型が多く, 雌ずいにくびれがある系統の頻度が高く, 日本在来種とは形態的に異なっていた. 農家から採取した集団は, 成葉は丸く, 雌ずいが雄ずいより短いS型や雌ずいと雄ずいの長さが同じM型が多く, 形態的には日本在来種に類似していて, 1920年代以降に日本から持ち込まれたチャに由来すると推定された. 韓国在来種の中には, 斑入りの系統が1系統あったが, こうろの形質を示した系統はなかった.