抄録
水稲乾田直播栽培が行われている岡山県の11地区において発生した雑草イネ23集団について,ふ毛長,フェノール反応,塩素酸カリ抵抗性から日本型・インド型を判別した結果,8地区では日本型(14集団),1地区ではインド型(2集団),2地区では両型(日本型4集団,インド型3集団)の雑草イネが発生していた.さらに,これらの雑草イネの稈長,到穂日数,穂首抽出長,籾長幅比の4形質から,クラスター分析を行った結果,いずれかの形質に顕著な特徴をもつ9つのタイプに分けられた.日本型雑草イネの多くは,発生した圃場に作付けされていた栽培イネ(アケボノおよび雄町)に稈長,出穂日など多くの形質が似ていたが(タイプ1および3),アケボノよりも稈長が約15 cm短い集団(タイプ2)や出穂日がアケボノよりも2または3週間早い集団(タイプ5および6)なども存在した.一方,インド型の雑草イネは,発生した圃場に作付けされていた栽培イネとは形態が著しく異なり,アケボノよりも稈長が約30 cm長い集団(タイプ7),あるいは約50 cm短い集団(タイプ9)が存在した.これらの雑草イネのタイプを発生地区に対応させると,日本型雑草イネは互いに20 km以上離れた広範囲の地区に発生していたが,インド型雑草イネは半径3 km以内のごく限られた範囲の地区に発生していた.このような各タイプの地理的分布は,それぞれの遺伝的起源および生理形態的特徴から推定される生態を反映した結果であると考えられた.