育種学雑誌
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レンゲにみられる雑種強勢とその利用について(続報)
赤藤 克己川端 習太郎
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1963 年 13 巻 4 号 p. 250-254

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抄録
本報は,前報(1961)にひきつづき,レンゲにみられる雑種強勢とその利用について実験を行放ったもので,えられた結果ならびに結論はつぎのごとくである。 (1) 8自殖系統間のあらゆる交配組合音のF128系統の生草重は、1個体平均重289.2gから488.5gまでの,またF1一MP(両親の平均値)では368.9gから163.8gに至る巾の広い変異が認められ,雑種強勢の利用には,まず高収量を示す組合せの選抜糸重要であることを確認した。なお,自殖による収最の減退は,雑種化することによって平均的には,ほぼ回復するが,組合母により,原系統の収量を上廻るものもかたり存在する。 (2)一般組合せ能力の一検定方法として,自然交雑種子を用いる方法を検討したところ,各系統の自然交雑とdiallel crossの両雑種系統間に正のかなり高い相関が認められる。このことは自然交雑種子によっても,ある程度,一般組合せ能力の検定が可能であることを示している。 (3)親系統を混植することによってF王を自然状態で採種し,その収量をみたところ,代表的品種岐阜大晩生種より有意にすぐれた系統がえられている。(4) 自然交雑によるF1種子中には,自腹もしくは姉妹交雑種子が多少混入するが,実際栽培程度に密植すれば,多少,自殖種子がF1種子中に混入しても,競合によって全体の収量には,それほど大きな影響を及ぼさない。これは,F1種子の大量採種上,きわめて好都合なことである。 (5)本報ならびに前報(1961,1962a)の結果からレンゲ育種における雑種強勢の利用は,実用的にきわめて有望であると結論される。
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