育種学雑誌
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西パキスタン栽培小麦6品種の葉光合成、葉蒸散率の差異
Khan Muhammed Amin角田 重三郎
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1970 年 20 巻 6 号 p. 344-350

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抄録
西パキスタンの栽培小麦6品種について着生単葉の単位葉面積当りの光合成、蒸散率の差異を観察した。多肥で適当に灌漑される条件下で高い収量を上げる最新の半矮性品種、Mexi-Pakが旧来のパキスタン小麦品種に比べ葉面あたり高い光合成率、高い蒸散率を示した。高い光合成率は、高い蒸散率、高い葉面当り乾物量、高い葉面当り窒素量と相伴なっていた。葉乾物に対する葉窒素の含有比もMexi-Pakの方が古い品種に比べ高かった。前報で、小麦属、Aegilops属の野生種は“厚い”小型葉を持ち葉面当り光合成率が高く、一方栽培小麦は“薄い”大型葉を持ち葉面当り光合成率が低い傾向があること、更に、この“厚い”小型葉から“薄い”大型葉への変化は水分供給の改善にともなって進行した可能性があることが指摘された。Mexi-Pakのような近代的な小麦栽培品種の場合には、ちょうど逆の“薄い”大型葉から“厚い”小型葉への変化が潤沢な肥料施用の下で進行している場合もあるように見うけられる。同化箱の通気速度の影響を同じ材料について調査した。結果は前報と同じく、6倍性品種の場合には毎分1.5lの通気速度が現装置において最高光合成率を得るのに適当十分なものであった。
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