品評会出品茶における茶品質と無機元素含有量の関係を検討するために,2015年に関西地区で行われた品評会の出品茶119点の煎茶から,その評価を基に上位,中位,下位の各10点ずつ合計30点を選び,解析を行った。解析の結果,上位茶と中位茶のN含有量が,下位茶と比べ有意に高かった。微量元素の中では,Zn含有量が上位茶と中位茶で有意に高かった。無機元素含有量と品評会の審査項目である,外観,香気,水色,滋味の4項目との関係を解析したところ,いずれの項目および総合評点において,NとZnは正の相関,Alとは負の相関関係が認められた。さらに,主成分分析による解析結果からも品質への寄与が高い元素は,NとZnであった。また,上位茶と下位茶の茶葉中のNとZn含有量には,正の相関 (r = 0.793) が認められた。これらのことから,茶の品質には,従来から知られているテアニンやN以外にも微量元素,特にZnが関与していることが明らかとなった。