日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
症例報告
cPDF(continuous plasma filtration with dialysis)を施行して救命できた門脈血栓症を伴った術後肝不全の1例
宇治 祥隆千代島 雅志古賀 伸彦吉岡 豊一江口 豊
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2019 年 10 巻 1 号 p. 33-35

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抄録

急性肝不全は広範囲に及ぶ肝細胞壊死と肝再生不全により高度の肝機能障害を認める可逆的な病態であり,連鎖的に病態が悪化するので極めて予後不良である。急性肝不全の治療である,人工肝補助療法は肝再生や肝移植までのbridging therapyとして重要な役割を担っており,血漿交換と血液濾過透析を組み合わせた手法が本邦で広く行われている。当院の人工肝補助療法はPDF(plasma filtration with dialysis)を行っているが,PDFとは血漿交換を行いながら中空糸の外側に液を灌流させる血液浄化療法である。当院は循環動態が不安定な症例が多く,24時間連続でPDFを行うcPDF(continuous PDF)を実施することが多い。今回は,術中に門脈血栓閉塞があり,その後,術後肝不全に陥り,血栓除去療法で肝血流を保持し,cPDFで肝不全悪化を予防できた症例を報告する。

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© 2019, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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