日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
総説
基礎的な見地からみた血中エンドトキシン除去の意義
森山 和広山下 千鶴西田 修
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2020 年 11 巻 1 号 p. 09-16

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抄録

最近まで,エンドトキシン(lipopolysaccharide:LPS)ショックは,LPSが細胞表面のToll様受容体(Toll-like receptor(TLR))-4に認識されることから始まると信じられてきた。しかし,2013年に細胞内カスパーゼが,TLR4非依存的なLPSセンサーとして発見されたことにより,現在ではエンドトキシンショックは,細胞内LPSが引き起こす,細胞内カスパーゼを介したパイロトーシス(細胞死)に伴う病態であると理解されている。また。最近,血中LPSが肺血管内皮細胞へ直接取り込まれパイロトーシスを起こすという肺障害機序も提唱されている。これらの研究は,血中からLPSを除去することの意義を再考させるきっかけになるかもしれない。一方で,ポリミキシンB固定化繊維カラム(PMX)研究のEUPHRATES studyにおいても,血中LPSの直接定量法は採用されておらず,LPSの除去効果は不明なままである。エンドトキシン除去療法の評価は,LPS高値の対象患者に対して,最適な施行方法で,正しい主要評価項目を設定して評価すべきである。

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© 2020, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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