2020 年 11 巻 2 号 p. 103-112
【背景】血液透析療法を安全に施行するためには循環動態の安定が重要である。今回われわれは,遠隔での血圧ならびに脈拍の連続モニタリングシステムを開発した。【目的】本システムの有用性を検証する目的で,透析患者を対象としたvalidation studyを施行した。方法として腕時計型の小型モニター装置を使用して,透析患者の脈波を連続記録,脈波から血圧,心拍数を連続測定した。また,その測定結果はInternet of Things(IoT)システムを用いて自動サーバ保存した。【結果】血圧,脈拍の測定値は既存の医療器具での測定値と比較し妥当であり,従来の医療器具と同等の検出精度であった。また,測定結果はIoTシステムを用いてサーバ管理し,アラート発動が可能となった。【結語】脈波の連続測定による透析患者の循環動態把握は,透析患者に過度なストレスを与えず経時的にモニタリング,サーバ管理することが可能となった。さらにアラート発動するシステムを臨床現場に導入し,治療環境の充実・改善を図ることで透析患者の包括的な安全管理に繋がる。