2020 年 11 巻 2 号 p. 113-118
遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモジュリン製剤(recombinant thrombomodulin:rTM)を投与した持続的腎機能代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)施行時における,CRRT回路内凝固の予測因子について検討した。2015年5月から2019年5月までに,当院でrTM投与下のCRRT(rTM-CRRT)を施行した43例を対象とした。早期の回路内凝固により回路交換を必要とした10例(凝固群)と定期回路交換にて施行した33例(非凝固群)に分類し,検討項目はAPACHEⅡ score,CRRT開始前のSOFA score,DIC score,血液検査データ(血算,生化学,凝固系),CRRT開始時脱血側ACTとした。多変量解析の結果,凝固系の可溶性フィブリン(SF)のみ有意差を認めた。CRRT開始前のSFは,rTM-CRRTにおける回路内凝固を予測し得る可能性がある。