日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
無抗凝固薬透析の完遂率向上をめざして
―久留米大学病院高度救命救急センターでの無抗凝固薬透析症例における検討―
福田 理史牟田 隆則平湯 恒久吉田 智博山香 修深水 圭高須 修
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2020 年 11 巻 2 号 p. 119-123

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抄録

集中治療を必要とする重症患者のうち,出血性合併症のハイリスク症例に対し,著者らの施設では2014年1月から無抗凝固薬透析を行ってきた。さらに,2018年10月以降は透析用カテーテルやエアートラップチャンバーなどのデバイスの変更も行った。今回,無抗凝固薬透析の完遂率に影響する因子,およびデバイス変更が完遂率に与えた影響を明らかにする目的で,後方視的検討を行った。27例70回の無抗凝固薬透析のうち,完遂できなかった症例では有意に頻回の脱血不良を認めた(P=0.002)。また,デバイス変更の前後で,完遂率は86.5%から100%に上昇していた。血液浄化回路の凝固回避につながるデバイスの工夫は,無抗凝固薬透析の完遂に寄与していることが示唆された。デバイスを工夫した無抗凝固薬透析は,出血性合併症のハイリスク症例に対する重要な治療選択肢になると考えられた。

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© 2020, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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