日本急性血液浄化学会雑誌
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持続的腎機能代替療法におけるダプトマイシンの薬物動態:4症例からの検討
田口 真奈井手 岳竹末 芳生猪川 和朗森川 則文西 信一
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2020 年 11 巻 2 号 p. 124-127

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抄録

ダプトマイシン(daptomycin:DAP)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に使用される抗菌薬である。持続的腎機能代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)施行中の用法用量は欧米では6〜8mg/kgを24〜48時間ごととされているが,本邦でのCRRT設定では異なった薬物動態が予測されるため,今回4症例の薬物動態を調べた。DAP投与量は隔日ごとに7.1(5.8〜8.1)mg/kg,CRRTの設定は持続的血液濾過透析2例,持続的血液透析2例であった。DAPの消失半減期(t1/2)は20.1(19.5〜20.6)h,薬物血中濃度−時間曲線下面積(area under the blood concentration time curve:AUC)は908(525〜1,281)mg・h/L,トラフ濃度(Cmin)は10.2(8.2〜10.5)mg/Lであった。t1/2は既報と比較し延長を認めた。推定最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)でのAUC/MICは目標値に達し,Cminも安全域内であった。CRRT施行中は1回投与量を>6mg/kgとし,さらなる検討が必要と考えられた。

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© 2020, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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