日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
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総説
敗血症性AKIにおける前希釈CHF
千原 伸也巽 博臣升田 好樹
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2020 年 11 巻 2 号 p. 85-91

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抄録

敗血症性の病態形成と関連するメディエーターにはサイトカインなどの大分子量物質が含まれる。したがって,敗血症性AKIに対しては大分子量物質のクリアランスに優れた持続的血液濾過(continuous hemofiltration:CHF)が適している。CHFには前希釈法と後希釈法がある。前希釈法は物質クリアランスの低下,後希釈法ではフィルター寿命の短縮や生体適合性が懸念される。臨床データおよび試験液を用いた水実験で,前希釈法は後希釈法と比べ,過剰な白血球や血小板の活性化を抑制するなど生体適合性に優れていた。一方,小〜中分子量物質に対するクリアランスは後希釈法が優れていたが,敗血症の病態と関連する大分子量物質のクリアランスは両希釈法で差はなかった。敗血症性AKIでは生体適合性や物質クリアランスの面からも前希釈CHFを選択すべきである。国内においては前希釈CHFを施行可能なコンソールの販売が開始されたことから,今後は,より病態に応じたCHFの施行法を確立していきたい。

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© 2020, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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