日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
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総説
急性腎障害に対する腎機能代替療法における至適血液浄化量
根木 茂雄大矢 昌樹重松 隆
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2020 年 11 巻 2 号 p. 92-97

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抄録

急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は入院患者,とくに集中治療室の重症患者における重大な病態の一つである。腎機能代替療法(renal replacement therapy:RRT)のめざましい進歩にもかかわらず,RRTを必要とするAKIの予後はいまだ不良である。そしてAKIに対する持続的腎機能代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)において至適血液浄化量はいまだ不明である。いくつかの単施設での検討で高用量のCRRTが予後改善につながることが報告され,AKIに対して高用量なCRRTが望ましいと考えられていた。しかしながら,血液浄化量を多くしても予後改善にはつながらないことが二つの大規模無作為化比較試験により実証された。一方,わが国においては海外とは異なり低用量のCRRTが標準であるが,低用量のCRRTと世界標準CRRTとの検証はなされていない。本稿ではAKIに対するRRTに関して至適血液浄化量について概説する。

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© 2020, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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