日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
Nafamostat mesilateを用いた持続的血液濾過透析施行中の至適ACTの検討
山崎 竜魅小田 裕一矢野 武志谷口 正彦白阪 哲朗
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2021 年 12 巻 1 号 p. 58-63

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抄録

当院の持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration:CHDF)に使用する抗凝固剤は,メシル酸ナファモスタット(nafamostat mesilate:NM)を第一選択としている。活性化全血凝固時間(activated clotting time:ACT)を指標としてNMの投与量を調節している。ACTには明確な基準がなく血液凝固によって回路閉塞を認めることもあるため,至適ACTについて検討した。対象はNMを使用してCHDFを実施した成人47症例で,血液濾過器出口側ACT(H-ACT)と動脈血側ACT(A-ACT)を測定した。H-ACTは48時間治療継続できた群(346±94.1s)と48時間以内に回路閉塞した群(261±92.5s)で有意差を認めた(P<0.001)。H-ACTを高値で管理すると回路閉塞のリスクが下がることが示唆された。また,ROC曲線解析から治療達成のカットオフ値は271秒(特異度69.6%,感度85.1%)とした場合,H-ACTは271秒以上が適切であることが示唆された。

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© 2021, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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