40歳台,女性。数時間前に量は不明もクレゾール石鹸液を飲み,嘔吐と意識障害をきたしたため搬送された。搬送時Glasgow Coma Scale 1-1-1,血圧 100/62mmHg,SpO2 99%(バッグバルブマスク換気)であった。頭頸部の約50%にクレゾールによる化学熱傷を認め,血清Crは0.97mg/dLであった。高カリウム血症のため第1病日から持続的血液透析を開始した。透析時も含め平均血圧を輸液や昇圧薬で65mmHg以上に維持し,体液量も適正に保った。その後尿量が低下し血液透析(HD)も要したが,13日間の乏・無尿を経て第21病日にHDを離脱でき,約9ヵ月後には血清Cr値が0.76mg/dLまで改善した。クレゾール中毒は腎臓を含め多臓器不全の原因となり,とくに経皮吸収では肝でのファーストパスエフェクトがないため毒性が出やすい。経皮吸収も加わったクレゾール中毒では腎障害や腎保護により注意を払う必要がある。