2022 年 13 巻 1 号 p. 22-28
近年の重症患者に対する集中治療では,ショックや蘇生といった生命維持のための診療に加えてICU退室・退院後も見据えた管理が求められ,ICU入室前の状態にいかに戻せるかが重要なミッションとなっている。ICU入室の弊害として,身体活動の制限や非日常的な環境などのさまざまなストレスにさらされることがあげられる。とくに,集中治療後症候群は長期予後に影響するため,その予防と対策が重要で,多職種が協働し互いの専門性を発揮していく必要がある。CRRTは,連続的に実施することで離床を妨げ,装置から生じる光や騒音が睡眠の妨げになりうることから,それらはCRRT traumaであると認識する必要がある。集中治療の場であっても患者には身体活動や睡眠が必要であり,心地よさや安全の提供は医療者の責務である。問題を発見したら技術的思考から解決することをモットーに,CRRTによる離床や睡眠の妨げを臨床工学技術で低減させるための知見を多角的な視点で考えたい。