2023 年 14 巻 1 号 p. 12-16
当ICUでは,毎朝多職種カンファレンスを行い,患者の病態や治療方針を確認・共有するチーム医療を行っている。近年,終末期医療の在り方について社会の注目が集まるなか,さまざまな機関,学会などから終末期におけるガイドラインや提言が発表されている。ICUで治療される重症患者のなかには,適切な治療を尽くしても救命の見込みがなく「終末期」と判断される症例を経験する。これらの症例に対して,われわれはガイドラインや提言を参考にして,多職種カンファレンスで十分なディスカッションを行い,より慎重かつ客観的に判断したチーム医療を行っている。また,患者本人が治療の意思決定ができず,家族らに意思決定をゆだねなければならない症例も多い。血液浄化療法の適応がある患者に対しては,家族らと十分に話し合い,合意形成後に血液浄化療法を「forgo(見合わせ)」している。現在のコロナ禍では,面会制限などにより家族らと十分に話し合う機会や時間が減るなど,新たな問題が発生している。