日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
技術・工夫
液層分離を前提とした返血側エアートラップチャンバ形状の検討
西村 優一本田 陽平宇田川 彩花田代 嗣晴金子 尚樹大和田 玄木村 康宏七尾 大観藤本 潤一西澤 英雄
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2024 年 14 巻 2 号 p. 126-130

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抄録

CRRTにおいて返血側エアートラップチャンバ(venous chamber:VC)は,血液滞留時間が長く,かつ空気接触があり凝固が多い部位である。当院ではその対策としてVC液面を高く管理し血液と補充液間での液層分離を行っているが,数時間に一度のVC液面調整を必要とし安定性は低い。今回,6種類のVCを用いて液層分離条件をin vitroで評価し,安定した液層分離が可能なVC構造を検討した。また,VC構造の違いによる滞留評価を行った。その結果,液層分離の形成条件は血液流入口が補充液流入口より下部に留置,かつ液面を補充液流入口より上部で管理することであった。両条件を満たしたVCのなかで,補充液流入口が最もVC下部に留置されているプリズマフレックス セプザイリスセットは,フィルター濡れの可能性が低く,気泡流入による液層分離解消までの容積が大きいため,現行VCのなかで最も安全性と安定性に優れたVCであると考える。

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© 2024, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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