2024 年 14 巻 2 号 p. 77-83
腎臓病疾患の終末期医療を考えた場合,腎代替療法の開始が必要となる前後の病期が合致する。この病期に治療を行わない場合,近い将来生死にかかわる状態になり得るからである。近年,このような病期に結果として治療を行わないconservative kidney management(CKM)が末期腎不全の治療選択肢として北米や西欧諸国を中心に普及,確立しつつある。本稿ではCKMを中心にその歴史,定義,各国での比較,わが国においてのCKMについて文献的考察を交えて紹介した。現在わが国の場合,治療の差し控えや中止という行為に対して法的に免責されておらず,まずは多職種医療チームで意思決定を行うことが重要であり,さらにわが国でCKMが受け入れられるためには,終末期医療関連の法律やガイドラインを始めとする環境の構築,議論が必要である。