2024 年 14 巻 2 号 p. 84-87
【目的】2種類の吸着膜を用いて拡散や濾過などの物理的原理を用いず小分子量物質の移動特性をin vitroで比較検討した。【方法】クレアチニン(Cr)を添加した試験液を用いて,ヘモフィルタとして膜面積1.3m2のPMMA膜と1.0m2および1.5m2のAN69ST膜を用いた閉鎖回路をそれぞれ確立してin vitroで実験を行った。実験条件は試験液流量150mL/min,透析液および濾過流量は設定しなかった。ヘモフィルタ前後で30秒毎にサンプリングを行い,Crの濃度を測定して膜素材の違いによるCr濃度の変化を比較した。【結果】3種の膜ともにフィルタ前のCr濃度は低下し,PMMA膜では7.6%,AN69ST膜では29.9〜43.4%低下した。【結語】AN69ST膜では,物理的原理を用いていないにもかかわらずCr濃度が低下したことから,電荷を有さない小分子量物質に吸着特性を示すことが示唆された。