当院では敗血症の有無にかかわらず透析を必要とするAKIの全症例に対してCAHを導入膜としている。また,われわれは1種類のCAHを使い続けたとき,AN69STで有意に高い生存率が得られたことをすでに報告している。今回,凝固トラブル発生時に膜素材の変更を可能とした場合,生存率にどのような変化があるか後ろ向きに検討を行った。AN69STを導入膜に使用すると,PMMAに比べて敗血症の有無にかかわらず高い生存率を示した。また,多変量解析ではAN69STを使用すると死亡リスクが0.682倍,敗血症があると死亡リスクが1.641倍だった。これらの結果から,死亡率の高いCRRT導入後の数日間にAN69STを使用することができれば,最終的に非吸着膜に変更したとしても変わらず高い生存率が得られることが分かった。