日本急性血液浄化学会雑誌
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Print ISSN : 2185-1085
症例報告
血液浄化療法が有効であったカルバマゼピン中毒の一例
中島 靖浩永樂 学榊原 真子山荷 大貴香月 姿乃前田 敦雄大宮 信哉佐々木 純林 宗貴土肥 謙二
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2024 年 14 巻 2 号 p. 93-96

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抄録

カルバマゼピン(CBZ)の誤薬によると考えられる中毒に対し血液濾過透析(hemodiafiltration:HDF)が有効であった症例を経験したので報告する。症例は70歳女性。意識障害で救急搬送され,痙攣と徐脈,ショックを呈し人工呼吸管理となった。入院翌日にCBZ中毒と診断され持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration:CHDF)を3日間行いその後HDFを実施した。HDF開始に伴いCBZの血中濃度は中毒域より低下,意識障害の改善も認めた。Day 14に抜管,day 25に退院となった。CBZ中毒に対してDHPが有効であるとされてきた。しかし,近年では血液透析(hemodialysis:HD)も同様に有効であると報告され本症例においても有効であった。CHDFはHDFと比較して透析効率が劣るため,原則はHDFを選択すべきと考える。ただし,本症例のような循環不安定例では,HDFを行うことは困難である。CHDFを導入し循環動態の安定後にHDFへ切り替えていくことも一つの手段と考えられる。

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© 2024, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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