日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
敗血症患者に対する血球細胞除去用浄化器「アダカラム®」の使用経験
高橋 学鈴木 泰星 眞太郎
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2024 年 15 巻 1 号 p. 36-41

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抄録

血球細胞除去用浄化器「アダカラム®」は2000年に国内において活動期潰瘍性大腸炎の寛解導入目的として保険収載された血液浄化用カラムである。今回アダカラムの敗血症治療に対する適応拡大目的で行われた治験に当施設も参加したため,その使用経験を報告する。当施設からは敗血症患者が計9例登録され,症状が増悪した2例が治験を途中で中止した。施行において重篤な有害事象はなく,1例でアダカラムの施行中に血圧の低下を認めた。登録した9例の登録日のAPACHEⅡスコアは29.4±3.8で,登録日のSOFAスコアは8.7±1.1,中止した2例を除いた7例の第7病日のSOFAスコアは4.0±1.3で有意な低下を確認した(p=0.0165)。測定した他のマーカーでも改善を確認したが,本試験は非劣勢試験であることと,症例数が少ないことからこれらの数値の改善がアダカラムによる効果であるかについては,今回の結果だけから言及することは難しいと考えられた。

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