日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
総説
急性呼吸不全(ALI/ARDS)に対する血液浄化療法
巽 博臣今泉 均升田 好樹千原 伸也吉田 真一郎蕨 玲子後藤 京子澤田 理加中野 皓太浅井 康文
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2011 年 2 巻 1 号 p. 39-46

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抄録

ALI/ARDSの治療としての血液浄化療法のエビデンスは未だ確立されていない。しかし,全身性炎症反応症候群(SIRS)の一分症として生じるALI/ARDSに対し,持続的腎機能代替療法(CRRT)は炎症性メディエーター制御と適切な水分管理の2つの機序により呼吸状態を改善させる可能性がある。ALI/ARDSに対するCRRTの詳細な作用機序の解明とともに,CRRTの有効性を高めるために施行モード(HD/HDF/HF),透析液量,施行時間,膜の材質や膜面積など,さまざまな検討がなされている。また,ALI/ARDS症例におけるエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)の酸素化改善効果も報告されている。一方で,ALI/ARDSの治療は血液浄化療法単独で行われることはなく,ALI/ARDSの病態や予後は原疾患によっても大きく異なる。ALI/ARDSの原因や病態の違いや,人工呼吸器条件や薬物治療など各種治療による影響を十分加味した上で,ALI/ARDSに対する血液浄化療法の有効性を評価する必要がある。

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© 2011, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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