2011 年 2 巻 1 号 p. 31-38
1999年に発生した患者取り違え事故以降,わが国では様々な医療安全の確立に向けた取り組みがなされ,一定の成果を得たといえる。日本医療機能評価機構は医療の質向上と安全の確立のために,「病院機能評価」や「医療事故等情報収集事業」を行ってきたが,ここではそれらの取り組みと最近の動向について報告する。同機構には,医療事故報告システムとして,医療事故情報等収集事業,認定病院医療安全審査,および認定病院患者安全推進協議会による取り組みがある。ここでは,主として「医療事故情報等収集事業」の最近の動向を具体的に紹介する。2009年1年間の大学病院,および国立病院機構の病院等273施設からの報告件数は1895件で,そのうち特定機能病院が788件を占める。事業発足当初は年間1件の報告もない医療機関が稀でなかったが,近年は一定の件数に落ち着いてきており,報告システムとしての安定性と信頼性を確立しつつある。