日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
症例報告
維持透析患者の長期CHDF施行時の高Ca血症に対する検討
小柳 邦治浪江 智吉福 律子
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2012 年 3 巻 1 号 p. 82-85

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抄録

今回,維持透析患者(以下HD群)の心臓血管外科手術後の長期CHDF中2例,脳神経外科手術後1名(一部検討項目除外有り)に高Ca血症を経験し,その背景と予防的手段を検討した。今回,長期CHDFを連続10日以上とした。また,高Caを補正Ca値10.5mg/dL以上とした。これらを元に,HD群と非維持透析患者(以下非HD群)のCaの変動などを検討してみた。結果,HD群はCHDF日数に相関しCa値が上昇した。非HD群も徐々にCa値は上昇してくるが,HD群と比較すると緩やかな上昇で臨床上問題となることは少なかった。HD群での高Ca血症の原因は今回特定できなかったが,補充液や透析液中のCa濃度,高カロリー輸液製剤の影響,多臓器機能不全に伴う各種cytokineなどの影響,1-25D3代謝経路の寸断などが影響しているのではないかと考えられた。これらを予防するためには,HD群の長期CHDF施行時には高Caに十分に注意し,血液検査,補充液,透析液の適切な調整の必要があると思われた。

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© 2012, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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