2012 年 3 巻 1 号 p. 86-90
先天性代謝異常症による新生児高アンモニア血症の予後は不良であり短時間のうちに不可逆的な脳障害が生じるため,速やかに血中アンモニア濃度を低下させることが必要である。血中アンモニアの除去には交換輸血や腹膜透析も行われてきたが効果が不十分なことも多く,血液透析が迅速かつ確実な治療法である。血液透析におけるアンモニアの除去に関しては,できるだけ多くの血液流量(Qb)をとり,それを活かす十分な透析液流量(Qd)を設定することが重要である。今回,オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症の新生児例を経験し持続的血液透析を行い,Qbは25mL/min,QdはQd/Qb=2.0となる3,000mL/hrまであげ適宜調節した。従来の報告と比べて多くのQb,Qdを設定し良好な経過を得たので方法とともに報告する。