2012 年 3 巻 2 号 p. 109-116
欧州およびアジア諸国の一部で,PMXの臨床応用が始まっており,日本国内と同様に安全に使用されている。腹腔内感染症に伴い,術後も敗血症性ショックの持続する症例は,良い適用とされ,循環動態の改善は,等しく報告される効果の一つである。一方で,PMX適用の論理的合理性が,強く求められている。これには,エンドトキシン血症の迅速診断が必要で,一部の国々で,EAA法が採用されている。PMX治療のエビデンスの確立に向けて,フランス(ABDO-MIX)と北米(EUPHRATES)で,2つの臨床試験が進行中である。PMX治療の作用機序解明は,重要な研究課題である。メディエータの制御,免疫担当細胞の吸着除去による免疫調節の仮説などが提案されている。臨床での現象論的な観察から本質論に迫るためには,PMXの役割と,それに伴って臨床で起きる生物化学的変化を明確にする,さらなる研究が必要である。