日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
急性腎障害の予後予測における尿中L型脂肪酸結合蛋白の経時的測定の意義
塚本 真貴土井 研人片桐 大輔濱崎 敬文松原 全宏石井 健矢作 直樹南学 正臣野入 英世
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2013 年 4 巻 2 号 p. 133-137

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抄録

急性腎障害(AKI)に対する早期診断を目指した新規尿中バイオマーカーが開発されているが,その経時的変化を詳細に検討した報告は少ない。AKIの予後予測,急性血液浄化療法の施行予測において,尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)の経時的測定の有用性を検討すべく,混合型ICUに入室した成人274症例に対してICU入室時と24時間後に採尿し尿L-FABPを測定した。AKI増悪予測において入室時,24時間後,その平均,最小,最大,差,変化率の各パラメーターの予測精度をROC解析により評価した。その結果,ICU入室後24時間の経過で尿L-FABPの最小値が高い症例,すなわちICU入室後24時間の経過で尿L-FABPが十分に低下しない症例はAKI増悪をきたしやすく,さらに急性血液浄化を必要とする可能性が高いことが示された。

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© 2013, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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