京都大学医学部附属病院において,2011年11月血液浄化機器取り違えに起因する死亡事故が発生した。本稿では,事故の概略に関して記載するとともに,現在進行している再発防止策に関して述べる。症例は50歳代の非代償性肝硬変合併慢性維持血液透析患者で,脳死肝移植待機中にドナーが発生したため緊急入院となった。脳死部分肝移植術後に持続的血液濾過透析(CHDF)を開始し継続していた。術後7日目にCHDF回路交換を行う際に血液濾過器と血漿分離器を取り違えたため,患者は急変し回路交換13時間後に死亡した。事故後検証により,①取り違えやすい物品管理,②CHDF体制の不備,および,③患者が死亡するまでに急変時の原因究明ができなかったという夜間,休日時の診療体制の問題などに集約され,臨床工学技士による24時間体制のCHDF回路組み立ておよび院内共通の手順書の作成と血液浄化療法に関するスタッフ教育などが強化・実行されることとなった。